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コラム

ハッカソンにおけるコミュニケーションの秘訣を学生たちにきく

葛城友香
システム統括本部サービスプラットフォーム開発本部 兼 CTO室 Developer Relations

名古屋オフィス勤務。地図/カーナビなどの位置情報系サービスなどを経て、現在はサービスプラットフォーム開発本部に所属し、社内のエンジニアに使われるシステムの運用や開発に従事。Hack Uやヤフー名古屋Tech Meetupの運営にも携わる。

はじめに

Hack Uを含むハッカソンに2人以上で参加するときに重要なのは情報共有、役割分担や進捗(しんちょく)確認などのチームワークと言われます。
チームを作ってからハッカソンに申し込むことが多いですが、「Hack U 名城大学」ではMeetupイベントを開催し、アイデアをベースに多くの人がその場でチームを形成しています。
そのため、初対面でチームを作ることも多く、コミュニケーションがより重要になってきます。
今回は「Hack U 名城大学 2021」に出場した「カクレクマノミ」チームにスポットを当てていこうとおもいます。
このチームは、発表会後のアンケートでチーム全員が大きな達成感を得ることができたと回答してくれたため、どんな工夫をしたのかを聞いていきます。

Hack U 名城大学について

詳細は Hack U 名城大学 2021 開催します! をご覧ください。
2021年度で4回目の開催となりましたが、今年は過去最多の65名、12チームが参加しました。

チームメンバーと参加理由

チームの集合写真
このチームは下記6名で構成されています。
- 伊佐地さん:リーダー(プログラミング経験者、2度目の参加)
- 小塚さん、小林さん:プログラミング経験者2人
- 福地さん、蜂須賀さん、新庄さん:プログラミング未経験者3人(新庄さんはインタビュー欠席)

最初はMeetupでできた4人のチームとしてアイデアを固めていましたが、「Hack U 名城大学 2021」申し込み最終日、未経験の2人が参加し、6人となりました。

それぞれの参加理由も参加者によりさまざまでした。具体的にはこのような理由を聞くことができました
- イベントに参加してみたかった
- 授業でプログラミングに興味を持った
- 就活に生かせそう
- 友だちに誘われた

インタビューの内容

チームはどのように形成しましたか? 


まず4人のメンバーでMeetupのときに決めたアイデアをベースにどんな機能を実装するか決めていました。
ある程度機能を絞り込んだところで受け入れた2人が参加しました。
途中から参加すると、入りづらいイメージがありますが、元のメンバーが1時間くらいをかけて、それまでの話し合いや完成形のイメージを共有することで、入りやすい環境ができました。
ある程度アイデアが固まった状態だったこともあり、情報も整理されていました。

コミュニケーションに利用したツールはなんですか? 


主に利用したツールは以下の3つです。
- Googleスプレッドシート
- Slack
- Zoom
まず、Googleスプレッドシートは、メンバーが空いている日程を入力して集まる日程の調整や、欲しい機能の投票や優先順位付けに利用しました。
Slackでは、都度報告したり、意見に賛同するかを決めました。記録を残すことで、会議に参加できなくても情報共有ができました。また、集まりたいことを提案するとすぐメンバーが反応して集まることができました。
最後に、Zoomでは会議を行いました。Meetup後〜発表会までの間に46時間くらいZoomで集まっていました。開発開始までも最低でも1週間に1度は集合し、1回2時間、多いときは、3,4時間集まっていました。対面で会うことはなく、初対面同士は発表会で初めて対面で会いました。

Hack U 名城大学2021でのオンライン/オフラインコミュニケーション

どのように開発を進めていきましたか? 


福地さん:最初に作品の全体像をリーダーが全員に示してくれました。
全体から担当領域を設定し、各担当領域に2人ずつメンバーを振り分け、必ず1人で作業をしないように進めていきました。
リーダーが役割を割り振ってくれたので、何もしない人が出なかったのはポイントだったと思います。

小塚さん:その後は担当ごとに進めましたが、手が足りないところがでると、周囲のメンバーが積極的に動きながら開発を進めました。
フォローしてくれた人への情報共有は、経緯は伝えず、できたこと、できていないことを伝えるようにしたことで、入りやすい形をつくりながら、元いたメンバーも自分の作業に集中することができました。


うまく開発を分担しながら、メンバーたちが自発的に動いたのは素晴らしいですね。リーダーとして何か意識したことはありますか? 


伊佐地さん:個々人のスキルを考慮しだすとキリがないので、あえて考慮しなかったことも良かったのかもしれません。
自分がわかる知識を伝えて、あとはメンバーにおまかせしていました。
チームとしてはうまく機能し、自分の担当部分についても責任を持って取り組むことができました。


コミュニケーションで大事にしたことはなんですか? 


伊佐地さん:Zoomで会議をしていたときは必ず顔を出すようにしていました。
ファシリテーションする際に、やりとりしているメンバーの表情を確認できることは大事にしていました。
しゃべる時の心理的なハードルを下げることができたことで、全員に話をふることも容易になり、全員から意見をもらうということも実現しやすかったと思っています。

小林さん:それだけでなく、先輩後輩の関係性を気にさせない空気作りも良かったと思っています。
普段は年上の人とコミュニケーションをとる時に緊張してしまうこともありますが、それを感じさせないような環境を作ってくれたこともあり、やりやすかったです。

蜂須賀さん:今考えてみると、そのおかげで質問しやすい空気感ができていたと思っています。
リーダーだけでなくメンバーたちも答えてくれるので、臆することなく質問することができました。

小塚さん:自分がわからないことに対して、周りの人たちがしっかり反応してくれたので、話しやすかったです。
気軽に質問できる環境作りが非常に重要だと思いました。


このチームで良かったことをあげるとなんですか? 


小塚さん:同じ話になってしまうかもしれませんが、環境作りだと思います。
自分が煮詰まった時や作業して困っていた時は、他のメンバーが解決できるまで付き合ってくれて助かりました。
これって「みんなで取り組んでる」という環境作りができていたからできたことだと思います。

福地さん:自分もそう考えています。
会議の中で時間を多く使ってしまい申し訳なく感じることもありましたが、周りが受け入れてくれたのでやりやすかったです。
Zoomで画面共有しながら1つ1つ課題を解決したり、勉強できるページを教えてもらったりと非常に助かりました。

小林さん:プログラミングが初めてでも、メンバーが前向きに取り組んでくれたのも良かったと思います。
「周りも頑張ってるから自分も頑張ろう」と思い、士気を下げない雰囲気で取り組むことができました。

蜂須賀さん:自分なりに精一杯やることで、周りがそれに応えてくれる関係性ができあがっていたと思います。
そのため、「いろいろやってくれたから、今度は自分が!」と思い、貢献できる場所を探したり頑張ることができたと考えています。
この環境作りがチームとしてパフォーマンスを最大限に押し上げてくれたんじゃないかなと思います。


このチームで反省する点はなにかありますか? 


一番の反省点は最初から最後まで一貫したスケジュールを立てることができませんでした。
開発する上で必要なものの洗い出し、そこからどう見通しを立てるのかなど、とても難しかったです。
最後までスケジュールが見えなかったことで、「最後にこれだけは実装しよう」ということも話しきれませんでした。

スケジュールについてはサポーターと相談してみても良かったですね。  
これからハッカソンに参加しようとしている人に伝えたいことをお願いします。
  


ハッカソンの経験がある人もない人も、自分たちのチームとしては以下のようなことを大事にしていきたいと思います。
- 仲間を見つけて参加してみる!
- チームの環境作りに時間を惜しまない
- チーム内で自分のできることを探す
- 教えてもらう積極性を持つ

プログラミングしてアプリケーションを作ることがハッカソンの入口だと思いますが、それを聞くと「難しそうだな」と思ってしまいがちです。
ですが、プログラムを書く以外にも企画、プレゼンテーションなど、何かしら役に立てることが絶対にあります。
チームで参加することで、自分の得意分野をいかすこともできるので、まずは仲間を見つけて参加してみてほしいです。

また、チームの環境作りに時間を惜しまないということも大事だと思います。
教えてもらいやすい環境を作るためにも、雑談する時間を作ったり、チームの雰囲気を和ませることも重要です。
そういう環境を作ることで質問がたくさん生まれたり、自分のできることを探しやすくするのがポイントになると思います。

今後はどうしますか? 


今回の作品は開発を継続していきたいと考えています。
良いチームができたと思っているので、学外のハッカソンや他のイベントに参加することも検討中です。
今回の経験をいかしながら、楽しくものづくりしていきたいです!

発表会の時の様子

最後に

話を聞けば聞くほど、仕事をしていてもぶつかるコミュニケーションの悩みをしっかり対応しているチームだと感じました。
ここまでしっかりコミュニケーションを取ってすすめるのは難しいですが、少しでも参考にして、気軽にHack Uに参加いただき、すてきな作品を作るチームがさらに増えていってほしいと思います。

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